公共交通運賃案1〜都心部における運賃体系

 これは、以前予告したものである。
 欧州の鉄道は、行政の手厚い保護を受けて運営しているケースが多い。そのため補助金も多く、見返りに運賃を安くできるのである。
 日本では、行政の補助金が少ないため、自助努力で運営されることが多い。そのため乗客が少なかったり大規模な工事が発生したりすると必然的に運賃が上がり、切り詰めが限界に達すれば廃止されてしまうことも少なからずある*1

 余談はこのくらいにしておいて、本論へ移ろう。一般的に欧州の都心等路線が入り組んだ部分では、一帯均一運賃を採用していることが多いとされている。これは乗客の混乱を防ぎ、異なる事業者間の乗り換えでも額が変わらないという点で安心である。一方、単独事業者主体で運賃が決まる日本では、地下鉄の郊外路線乗り入れは発達しているものの*2運賃は完全に別体系となっているために、異なる事業者間では乗り入れがあっても両者の運賃の合算*3で、運賃が嵩んでしまう。
 というわけで新案(もう誰か唱えている可能性はあるが・・・)、初乗り運賃統一化。これは距離による運賃加算を残したまま複雑な運賃体系を解消しようという狙いで、もちろん今までのように最短距離で計算する。さらに、乗り継ぎで発生する高額運賃を解消できれば、その分消費活動の資金が増えるという、経済的な効果も期待できる。また、加算額の決定権は事業者に残すことで、ある程度運営状況も反映できるという利点は残る。
 ただ、この新案にも問題はあり、初乗り運賃の一本化でそれまで事業者が初乗り運賃で稼いでいた分をどうやって確保するかという問題が残る。この問題には、事業者が加算額から収益を得ようとするあまり、極端に高い加算額を設定しないかという懸念があろう。これについては加算額を変えていない会社に乗客減の被害が及ぶ可能性があり、それを防ぐために行政の支援を拡充させなければならず、さらには増税へと及ばざるを得なくなる。

*1:国鉄末期からのローカル線大量廃止・建設中止の流れ。日本の場合は国鉄でさえこういう状況に陥ったから、如何に行政が公共交通を軽視していたかがわかる。

*2:主に関東に多い

*3:相方共に短距離の乗り継ぎや特定の事業者間の乗り継ぎでは、割引になる場合もある。