本当に固定していいのか?

 何やら京王のATC導入で8000系の4+6を固定化するのではないかという話を耳にしてしまい、いろいろ不安な点が多かったので、決定分析を行ってみた。やや個人的な心情が入っている部分もあるが、自分でもどうやれば最適なのかが知りたかったので、行うこととした。

  • 絶対条件

・10連運用対応
ATCへの対応
・運用の独立性の維持

  • それ以外の条件

・過不足なく編成が組める
・運転台が有効に使える
・現行の検査体制が継続できる
ATC機器の必要数を減らす
・運用上不安定な編成を減らす
・車輌の自由度を上げる
・10連を軸とした運用が可能
これに4〜10連の偶数両で運用が可能かどうかを加えた、13条件で比較を行った。

  • 比較対象

 評価対象は現行の編成、8連13本から24両を外して4+6連5本と10連3本に組み替えた想定、8連13本に26両を増備して10連化を行うという想定、この3案にそれぞれ4連と6連を固定化した場合の想定を加えた6案で比較を行った。

  • 結果

 現状を維持すべし。検査体制や、ATC機器の必要数の面での不安はあるが、編成の自由度の高さや、何より無駄なく使えることが大きい*1
 そのほかの案は軒並み固定化しない想定が優位に立っており、固定化した想定はいずれも編成の自由度が失われており、これが評価を大きく落としている*2
 10連を基準に揃えた想定は、どうしても過不足が生じてしまうのが、評価を下げる結果となってしまった。

  • その他の条件

・別々の入場は可能
 4連と6連は8000系だけではなく、7000系にも存在する。ただしこちらは何が何でも4連と6連の検査期限が揃えられる8000系と違い、それぞれの検査期限はバラバラである*3。8000系の場合、単に管理上の入場回数を減らすために無理やり同時入場させているという見方もある。実際には4連と6連で検査期間が僅かにずれているので、別々に入場させるのもできない話ではない。
・共通運用の可能性
 8000系は他形式と併結できないので、他形式を巻き込んだ運用ができない。そのため現在の季節運用では、分割併合の絡む運用は8000系で統一されているし、かつては分割併合を行う時期に一部急行運用を担当していた7000系が、この時期だけは平日も含めて一切定期急行運用に入らないという状況にあった。
 どうやら次の改正で分割併合は廃止されるという噂で、これが最初の「事実上の固定化」の話と絡まってくるわけである。
 一方で8連はというと、どの編成とも絡まれない運用にしか入れない。これが厄介で、10連化計画は将来の輸送量の見込みから早いうちに頓挫、増結のある他形式の運用に入れず、通勤ラッシュ時の戦力に加われない状態。ただし増結がない運用なら、他形式の運用でも事実上共通運用が行われていることも多い。
・支線・末端区間はどうなる?
 さて8000系の6連には、現在7000系とともに本線末端区間高尾線相模原線での単独運用がある。これらは従来8000系を当てていた本線優等列車に、7000系の10連や6000・9000系を当てることによって、捻出した7000・8000系で短編成化を行ったものであるが、8000系を固定化した場合はどうするのだろうか?これが心配の種である。7000系の6連は5本だけで、相模原線封じ込めの6000系5扉車を入れても6本しかない。2+4連という策も取れないことはないが、これらは7000系増備も最終段階で投入された車輌であり、当分制御装置の更新も行われる見込みがないので、あまりにも力不足である。7000系未更新8連の短縮も考えられないこともないが、ATC導入のころには更新が終わっている可能性が極めて高く実現性に乏しい。6000系の短編成化で凌ぐのが精一杯だろうか・・・。あるいは本線各停の系統分割の中止でもしない限りは運用削減もできないだろうし・・・。
 

*1:ちなみに運転台の条件を外しても現状維持と出ている。

*2:編成の自由度を無視した場合は固定化した想定のほうが上にくる。

*3:単純に双方の製造年次が違うということもある。