フリーキックの魅力

 サッカーは腕以外の全身でボールを操るというスポーツで、もちろんフィールドで行われる他の団体球技(クリケット〜野球の系統を除く)と同様に選手が動き回ってボールを回す。基本的に動いているボールを受けてそれをまた他のところへ動かしてゆくことが基本だが、例外的にセットプレーというものがある。サッカーにおけるセットプレーにはフリーキックペナルティーキックというものがあり、反則が出た場合に行われるほか、ペナルティーキックは主にトーナメント戦で、試合の決着が着かない場合にも行われることが多い(バスケットボールのフリースローと近いと思われる)*1
 ところでこのセットプレーは通常のボールの蹴り方とは違った技術が必要と思われ、特にフリーキックはその傾向が強そうだ。まずボールが動いていないので、格段に精度を高くすることができ、味方がいるところにうまく入れば得点の可能性が大幅に上がる。ペナルティーキックではゴールキーパーとの1対1なので、互いが互いの動きを読む心理戦となることが多い。そのため相手ゴールキーパーの動きさえ読めれば、キックの精度が低くても得点できる確率は高い*2
 一方、フリーキックでは、相手が選手の壁を作ってボールがゴール前に入るのを阻止しようとするので*3、ここでも壁をかわすために精度の高さが要求される。壁は最低1人、多くて大抵は7〜8人で、あらかじめ味方を壁に入れておいてその味方が変則的な動きをして壁に穴を作り、その穴からゴール前まで持っていくやり方もある。大抵は通常のキックの精度が高い選手が蹴るが、キックの精度が低い選手が蹴る場合は、あえて横にボールをずらして、そこで構えている味方に打たせることもある。
 もちろん直接ゴールに打ち込むことも可能で*4、この場合も通常キックの精度が高い選手が行うことが多い。
 蹴り方は選手によって個性が出て面白いので、観客に期待されることも多い。弾丸のようにまっすぐ飛んでゆく、弧を描いてゴールに飛んでゆく、立体的な動きをする、回転しない・・・。ときにその選手の代名詞ともなるような蹴り方も出てくるくらい、選手の個性が出てくる。またこういうときに蹴る選手は流れの中でも唸らせる動きがあったりするから見逃せないのである。

*1:反則とは異なる形でコーナーキックもある

*2:蹴る方が極端に緊張している場合は打ち上げてしまうこともある

*3:むしろ精度が高いためにペナルティーとして壁を作ると見るべきか

*4:間接フリーキックでなければ可能