廃墟と化した文化財〜白雲樓ホテル

 まずはこのサイトを見てほしい。
http://discoverjunk.cool.ne.jp/haikyotop/hakuunrou/
 なぜこういうことになるのかは私にもわからないが、この場合は管理する方も破壊する方も何もわかっていないという最悪のケースだろう。運営していた日本観光は社長親子の会社支配の為だか、金沢市に施設を寄付する為だかで半ば計画的に会社を倒産させ、その建物の価値を知らない破壊者たちは何も考えずに荒らしてゆく。その後も抜本的な改装・修繕が為されぬまま破滅への道をひたすら辿り続け、今年1月ついに解体決定となってしまった。

 現状は上のリンク先を見てもらえればわかるだろう。状態のいい部屋と悪い部屋の格差が著しい。いい部屋は現役時代と比べても何も遜色が無いが、悪い部屋はカビとキノコの巣窟になってしまっている。2002年の状態ならまだ修復は可能だったかもしれないが、もはや倒壊しかけている部分も出てきて、崖の上に建つという立地条件がさらなる解体への追い討ちになってしまった。未だに監視カメラやスプリンクラーは作動しているようだが、建物の状態からして問題なく動作してくれるかどうかがわからない(その点では侵入者も多いのだからそれなりに動いてくれないとまずいわけだが・・・)。玄関部分を西金沢駅の駅舎に再利用しようという提案もあるが、このように破壊・崩壊が著しい現状を考えると難しいかもしれない。

 どうしてせっかくの文化財の価値を踏み躙るのかというのがわからないところ。価値観は当然人によって異なるが、どうしてもその重要性を伝えられないのかという問題に絡んでしまう。金沢市及び石川県は過去にも価値のある建物を撤去したという実績があるようなのがなんとも信じ難い。こんなことが当然のように起こる国が観光立国を目指しているのだから怖いものである。